良いスタートアップ/ベンチャー企業の条件とは?

このキャリアコラムでは、「スタートアップ/ベンチャー企業」への転職を考えている方に向けて、キャリアデザインの考え方やスタートアップ/ベンチャー企業のリアルな状況、転職成功者の実例、転職活動のノウハウ、転職市場のトピックなどをお伝えしていきます。

第7回目の今回は禅問答のような内容ですが「良いスタートアップ/ベンチャー企業の条件とは何なのか」について書きたいと思います。スタートアップ/ベンチャー企業への転職をお考えの方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

転職者がスタートアップ/ベンチャー企業に求めるもの

先日、お会いした方との話の中で、今回のコラムのテーマである「良いスタートアップ/ベンチャー企業の条件とは何なのか」について、あらためて考えさせられました。その方は昨年、大手財閥系メーカーから従業員100人以下のベンチャー企業に転職されたようなのですが、求めていたものとのギャップに悩み、再度の転職を考えていらっしゃいました。

その方はご自身が成長できる環境に対して、明確に「変化」「裁量権」という2つの条件を持っていました。シンプルな条件ですが、若手ビジネスパーソンが成長する要因としては的確だと思います。その方は選考(面接)を通じて、最終的に転職した企業にはこれらの条件が揃っていると感じたようです。しかし実際に入社してみると想像とは真逆の「変化を好まず」、「裁量権も少ない」風土だったとのこと。特に象徴的だったのは新しい取り組みを提案しても「どうすれば出来るか」ではなく「出来ない理由を述べる」ことが多い点でした。結局、提案する内容以上に上層部への根回しが必要となり、前職の大手財閥系メーカー以上に大手企業病だったのです。

大手企業からスタートアップ/ベンチャー企業に転職する方はほとんどが年収を下げることになると思います。昨日お会いした方のように、年収を大幅に下げる分、裁量権の大きな仕事に就いたり、変化の激しい業界で様々な知見や人脈を構築していったり、「大企業では得られない貴重な経験を買う」と考えている方は多いと思います。それにもかかわらず、求めていたものがなかったときの失望感は大きいはずです。

見極めるポイントは何なのか?

その方が話の途中に「良いスタートアップ/ベンチャー企業を見極める方法はないか」ということを聞いてきました。時々、似たような質問を受けることがあるのですが、その度に私が回答しているのは、最終的には「社長」の人間性や価値観に行きつく、という点です。

このキャリアコラムでも何度も書いている通り、今は様々なITサービスの高機能化&低価格が進み、資金調達の難易度も下がっているので、ビジネスアイディアを持ち、意欲のある方であれば、かなり起業がしやすい環境になっています。もちろん設立した企業が存続するかどうか、拡大するかどうかは、そもそも手掛けているビジネスが大きな収益を生むのかどうかによります。しかし最近は参入障壁の低く、似たようなビジネスが立ち上がることも多い時代です。そうなると社長の「起業への想い」、「手掛けているビジネスへの想い」が、昔よりもその企業の存続や収益拡大に大きな影響力を持つようになっていると思います。

そのため、この【Career Wake】では転職希望者の方にその会社(=社長)の価値観や考え方をしっかりと理解してもらった上でエントリーしてもらおうと、社長インタビューを掲載しています。そして転職希望者の方には、ぜひ面接を受ける中で、仕事内容や就労条件以上に、その会社の価値観や考え方に関する質問を投げかけ、理解を深めていってもらいたいと思います。

良いスタートアップ/ベンチャー企業とは?

そして今回のコラムタイトルである「良いスタートアップ/ベンチャー企業の条件とは?」への回答になりますが、結局のところ誰にとっても良い環境のスタートアップ/ベンチャー企業などないというのが回答になります。(スイマセン、元も子もない回答ですが…)

というのも、そのスタートアップ/ベンチャー企業がその人にとって良い環境かどうかは、人によって異なるからです。当たり前の話ですが、Aさんにとっては良いスタートアップ/ベンチャー企業が、Bさんにとっても良いとは限りません。

組織形態や人事制度などは社長の価値観が色濃く反映されますが、例えばプロフェッショナル集団で個々人の裁量権が大きく、報酬も完全に個々人の業績連動という会社もあれば、チームやグループへの貢献に重きを置き、報酬もチームやグループの業績やエンゲージメントサーベイのスコアなどと連動させるというような会社もあります。そしてどちらの会社の方が働きやすく、やりがいを感じるのかは個々人の価値観や考え方次第です。

自分の考えを持ち、環境依存にならない

結局のところ、自分にとって「良いスタートアップ/ベンチャー企業」と出会うためには、その企業うんぬんの前に、自分のキャリア上の「価値観や考え方」を明確化させておくことが必要です。「価値観や考え方」というと大そうな内容に聞こえるかもしれませんが、ようは働く環境において、大きな様子である「誰と」「何を」「どのように」について整理しておくことです。例えば…

  • どういう社長の下で、どういう人たちと働きたいのか
  • 何の事業領域(社会的な課題)に挑戦したいのか
  • どういった職種で、どのような価値を発揮したいのか
  • 上司や同僚とはどういった関係性を望むのか

というようなことです。

どんな会社でも、仕事をしていく上で良いことばかりではありません。逆境に立ち向かわなければならない場面もあると思います。そういったときに自分の中で「今この会社で、この仕事をしている意義」を見出せていれば、なんとか乗り越えられるはずです。

逆に上記のような内容が整理されていないまま「なんとなく成長できそう」というような意識でスタートアップ/ベンチャー企業へ転職してしまうと、上司の異動、同僚の退職、新規事業の開始&既存事業の撤退などの環境要因によって、ご自身のやりがいや成長への意欲が左右されてしまいます。

前回のキャリアコラムでは転職を成功させるためには「自分の中で転職理由の本音と建前を合致させる」ことと、「企業が求めることと自分が求めることを合致させる」ことが重要と書きましたが、まさにキャリア上の「価値観や考え方」を明確化させておくことはその第一歩です。キレイごとではなく、本当に自分が会社や職場や仕事に求めているものは何なのか、何を重視しているのか、が明確になれば、おのずと働きやすく、やりがいを感じる企業と出会えるはずです。

今後もスタートアップ/ベンチャー企業を立ち上げる起業家の方は増えていくと思いますが、まだまだその企業にジョインする人たちは足りないと思います。

あらためてですが、スタートアップ/ベンチャー企業が日本経済を活性化させる原動力となり、多くの人に生きがいややりがいを生み出す場となるために、我々は【Career Wake】やその他のサービスを通じて、もっともっとスタートアップ/ベンチャー企業で働く人たちが増える世界を創っていきたいと思います。

Attack株式会社
代表取締役 村上篤志

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